悠歩快走録☆3

悠々と歩み、快く走りたい

横浜名物メリーさんに再会(映画『ヨコハマメリー』)

数年前まで横浜関内周辺を歩けば必ず出会うことができた、白塗り白服の老女。人呼んで「メリーさん」。若い人は「ホワイトオバケ」などと呼んだりしました。ほとんど誰もこの人の正体を知らず、噂が街を飛び交っていました。

30歳の若い監督(中村高寛)が創ったドキュメンタリー映画『ヨコハマメリー』を、メリーさんが愛した街・伊勢佐木町の「ニューテアトル」で見ました。超満員。立ち見あり。ちなみにキャパは118人。整理券を発行していました。映画館スタッフの話では、制作会社も予想外の入り、プログラムも急きょ増刷中とか。それだけのことはある、希有な人間ドラマだと感じます。

映画は、メリーさんをめぐる街のうわさ話に始まって、メリーさんと何らかの交流があった人たちの証言を次々と紹介してゆきます。

何と言っても、永登元次郎(ながとがんじろう)さんとメリーさんのエピソードがとても切ないです。元次郎さんはシャンソン歌手。関内ホールでのリサイタルにメリーさんを招待したことから、この映画の白眉となる「再会」のシーン(これを書くわけには行きますまい!)まで、この映画の主役は、元次郎さんとメリーさんです。

メリーさんはもと「街娼」「洋妾」です。そういう関係の方々も証言者として多数登場します。いわば横浜のアウトサイダーたちのヨコハマストーリーにも、この映画はなっています。これが何だか魅力的でした。もと「愚連隊」とか、占領下の米兵やアウトローたちが集う酒場の芸者さんとか。ほとんど私の知らない世界、近づきたくない領域ですが、横浜のにぎわい、歴史を創ってきた人たちであることに間違いないです。

メリーさんが白塗りにした理由、それは、いわゆる「世を忍ぶ仮の姿」かも。この映画では、達筆なメリーさん本人の書簡や、帰郷後の素顔も登場します。けっこう「サプライズ」かもしれません。

メリーさんも元次郎さんも、メリーさんをモデルにした五大路子さんの一人芝居『横浜ローザ』の作者である杉山義法さんも、もはや亡くなってしまいました。でも、長回しの伊勢佐木町松坂屋前の映像、そこに現れる五大さん演じるメリーさんの姿を見ると、メリーさんはまだ生きていて、灯がともる伊勢佐木あたりを猫背で歩く白装束の姿を見かけても少しも不自然でないと、思ってしまいます。横浜という街はさまざまな姿かたち・生い立ちを背負った人々を違和感なく受け入れてしまう不思議な包容力があるように、あらためて感じます。

そういえば、桜木町あたりをほとんど一日中、上半身裸で走り回っていた「マラソン爺さん」も、メリーさん同様私は気になっていましたが・・・

8月に赤レンガ倉庫で、五大さんの『横浜ローザ』を再演するそうで、ぜひ見に行きたいと思います。

*五大路子さんのページ「ヨコハマメリーと横浜ローザについて」

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